［2025年頭所感］会頭挨拶『人口減少時代に向けた挑戦』

新年あけましておめでとうございます。令和7年の幕開けにあたり、皆様に心からご挨拶を申し上げます。

日本全体が「人口減少」という大きな課題に直面している中、ここ山口県も例外ではありません。30年後には現在の人口の約3割が減少すると予測されており、地域経済や日常生活に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。こうした現状にあっても、私たち山口商工会議所は、中小企業の支援を通じて地域経済全体の活性化を図るとともに、新しい社会構造への適応を目指してまいります。

特に重要なのは、人口減少を克服するための「地域の魅力づくり」です。山口市には、豊かな自然、歴史的文化、そして住み良さという強みがあります。これらを最大限に活用し、域外からの定住促進や新たな人材の流入を目指して、地域資源を基盤とした持続可能な街づくりを、今年も進めていきたいと考えています。

さらに、この課題に取り組む上で欠かせないのが「公共交通の活用」です。市街地を効率よく移動できる公共交通は、高齢化社会においてなくてはならない、重要な社会インフラです。しかし、現状では利用者の減少や運営コストの増大が事業者にとって深刻な課題となっており、抜本的な改革が求められています。山口商工会議所は、昨年から地域交通の未来を見据えた検討を始めました。利用促進キャンペーンや、公共交通の利用習慣を根付かせる取り組みを行政とともに展開したいと考えています。これらの施策は、住民の生活の利便性を向上させるだけでなく、二酸化炭素排出量削減などSDGsの目標達成にも寄与するものと確信しています。

また、コンパクトシティの実現に向けた「街中居住」の促進も引き続き重要な柱です。山口都市核や小郡都市核といった市街地を中心とした都市機能の集約により、生活の利便性を高めるとともに、効率的で持続可能な都市構造を提言していきたいと思います。こうした取り組みは、人口減少時代においても地域の発展を可能にする重要な要素となるでしょう。

私は会頭に就任して９年目を迎えましたが、時代が確実に変化していることを実感しています。今年も山口商工会議所は、地域の皆様と共に課題解決に向けた歩みを進めます。皆様のご理解とご協力を賜りながら、人口減少時代を乗り越え、魅力ある山口市を次世代へと引き継ぐために全力で取り組んでまいります。

本年が皆様にとって発展と幸せの年となるよう、心からお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

山口商工会議所　会頭　河野康志